特別支援学校で学習する児童生徒がいます。
手を動かすことが不自由で、なかなかパソコンやタブレット、スイッチを操作することが難しい、だけど目をよく開いていて、何か伝えようとしている・・・。
視線入力導入のチャンスです!
専用の機器をつかって、パソコンのマウスカーソルを視線で操作する技術です。注視でクリックできます。手で操作することが難しい人たちの学習の幅や生活の世界が広がることが期待できます。
・自分で何かができる。(選択・決定)
・目が使えていることがわかる。
・どんなことに興味があるかがわかる。
・興味を広げられる。
・だんだん上達する。
・発信しようとする意欲がみられるようになる。
・今までは、緊張が強かったり、呼吸がつらそうだった。視線入力の学習をしている間は、そういうことを忘れたように集中していたりする。
・「この子、けっこうわかってるんじゃないかな?」と周りの人たちの見方・対応の仕方が変わってくる。
iPadのように1台それだけを買えばいいのではありません。
視線入力機器(Tobii Eye Tracker 4C / 5)・ノートパソコン・固定具(パソコンスタンド)・ソフトを自分でそろえます。
決まったセットで売っているわけではなありません。「何をそろえていいのか」難しさがあります。もし買ってしまっても使えない不安があります。
ただ最近、視線入力機器が全国的に使われ始めて「定番の機器のそろえ方」も出てきています。
よく使われているセットの一例を「パソッテルセット」(miyasukuスタンドも同様)として紹介しています。
ベッドサイド・車椅子・座位保持椅子・ピットで使用できます。
また床の高さで布団やマットを敷き、仰臥位・側臥位で過ごす児童生徒に対しては、miyasukuスタンドがカスタマイズできて便利です。
(「パソッテル布団用」が手に入れば、布団の下に差し込めるし、安定感があり便利です。)
※iPadも持っているなら、PCと接続して教員用モニターとして使うと、意外と便利。特に生徒が仰臥位でPCが下向きだと教員は無理な姿勢をしなければなりません。身体を痛めます。しせんていで「二刀流」として紹介しています。
座位保持椅子・車椅子・ベッドでの学習に対応できます。
miyasukuスタンドやパソッテル布団用(特注)を使えば、布団での学習にも対応できます。
まずは重度障害児・者支援アプリ EyeMoT3Dをやってみましょう。
「風船割り」「アステロイド(スクラッチ)」「射的」・・・ポランの広場(https://www.poran.net/)で配布されています。
(ダウンロード~設定までは、『EyeMoT3Dをインストール』で説明しているので参考にしてください。)
EyeMoT3Dは好きな画像が使えます。
「射的」は選択の教材としても使えます。
EyeMoTボックスアプリでVOCA(Voice Output Communication Aid)をつくることができます。
視線で画像を選ぶと、音声を鳴らすことができます。
初歩的なコミュニケーションの教材として使えます。
miyasuku EyeConLT2を入手すれば、PowerPointで作った教材を利用できます。
教員が作ります。児童生徒に合わせて使いやすい教材を作ることが可能です。
PowerPointでもVOCAを作ることができます。音声を鳴らしたり、動画を起動させるたりすることができます。
EyeMoTボックスをつなげば、視線入力で電池で動くおもちゃや扇風機を操作することができます。
私は、前任校(群馬県立あさひ特別支援学校)で訪問教育で2人の授業(週3回ずつ 週6コマ)を担当し、毎回、視線入力・ICT機器を取り入れて活用していました。
以下、毎回のだいたいの流れです。
Cさん 3年生での授業
始まりの会
視線入力PowerPoint自作教材を使用。
(4択:体調調べ、天気調べ、見たいテレビ)
身体の学習・作業(棒スイッチで機械操作)
視線入力
EyeMoT(風船割り・スクラッチ
射的で国語・算数・気持ちの2択の学習)
iPad/DropTalkでコミュニケーション
視線入力PowerPoint自作教材を使用。
(音楽動画・読み聞かせ教材選び)
終わりの歌
iPad(ギター・ピアノ・ドラムパッド)で
授業後、家族とiPad/DropTalkでコミュニケーション
Dさん 2年生での授業
すべてGoogle Meetでリモート学習。
DさんのPCで画面共有。担任は画面を見ながら指示。
ワンキーマウスでPC操作
PowerPointで作業(視線入力用のクイズ作り)
※2学期は、学習発表会出品用の塗り絵の作品作り、文集の編集を行いました。
教室の生徒や教員と交流
(3・4/5・6校時の休み時間5分間に合わせて接続、雑談)