視線入力を始めたいけど、二の足を踏んでいる教員の皆さん。
何か解決の糸口になれば良いです。
研修を受けて・・・満足して・・・終わっていませんか?
毎年、何回も研修を受けて、「研修マニア」になっていませんか?
実際自分で、やってみないと、結局は身につきません。
でも機器がない・・・。
もちろん学校で買ってもらえるのであれば、これほどラッキーなことはありません。
数年前と比べると、視線入力を取り巻く環境は良くなっています。
だいぶ認知されているようです。全肢研でも紹介されていますから、校長先生も見たことがある人も多くなっています。
校長先生が、視線入力に理解があるのが一番近道です。
また今は、自治体で、各特別支援学校に1セットずつ・・・みたいな感じで買ってもらえるところもあります。
悶々としているのは好きではないです。とりあえずできることから手を付けて変えていきます。視線入力を始めたのは2015年です。Tobii EyeX Controllerを「ポランの広場」を参考にしながらスウェーデンからの個人輸入で買ったのがスタートです。その後、パソコンが合わず、ノートパソコンを買い、まだスタンドのことが詳しくないことから、iPadをモニターにする方法を編み出しました。まだ認知されていない頃でしたから、機材はすべてまずは自分持ちです。現在も、視線入力機器一式や、「あいしー亭」に書いたロボットのセットも自分のものです。買ってもらうのを待っていては、機会を逃してしまいます。目の前の生徒にとって、今すぐにでも必要なのですから。
今だったら、Amazonで、Tobii Eye Tracker 5がすぐに手に入ります。自分のパソコンに取りつけて、ドライバー(無料)やEyeMoT3D(無料)をダウンロードすることで、まずは自分でどんなものか試してみることが簡単にできます。
自分のお金。もったいない?
昔、先輩教員から、「給料の中の調整費って、自分が研究するためのお金だよ。」言われたことがあります。だから本を買ったりパソコンを買ったり・・・自分を高めたり、研究したり、還元するために使っています。
視線入力訓練ソフトEyeMoTの新しい機能は、すぐにインストールして試してみます。自分の機材ですから自由です。まずは自分のパソコンで様子を見て、大丈夫そうであれば、学校のパソコンにもインストールしています。
生徒と実践してみて、あまり合わない感じだったり、自分にとっても何だか違和感がある場合は、無理に続けないで、使わないようにします。
おそらく自分で買うのが、一番、上達も速いです。
実績が出ますから、学校でも買ってもらえる可能性が高くなります。
学校での1台目は、学校からのお金ではなく、「ベイシア財団」に応募して20万円をもらい、そこから視線入力機器1セットを買いました。
2台目は、学校で出していただきました。
最終的には、生徒個人での購入(就学奨励費ICT機器加算)で、将来そのまま使ってもらうのが理想です。
2015年、視線入力を始めた頃は、まだ職員にまったく浸透していなくて、教頭から「個人のパソコンを持ち込んではダメなのは知ってるよね?」と一度だけ言われたことはあります。でも別の仕事を依頼したくて言ったようで、やっていることがどうだという意図はなさそうでした。もしその後、ダメと言われても「パソコンではなく、視線入力機器です。」と言いはろうとしていました。校長が理解してくれていて心配はしていませんでした。
教頭が替わりました。しばらくして、職員室に県からの「個人パソコンは持ち込まない。」お触書の紙が貼られました。教頭に相談すると「ぜんぜんそういう意図はなくて・・・。自分のパソコンじゃないと支障が出るんでしょ?使っていて大丈夫ですよ。」と言ってもらえました。
その後、学校には視線入力専用のパソコンが2台になりましたが、相変わらず自分のパソコンを使っておこなっていました。週6コマで視線入力機器を使う授業をしているため他の教員が使えなくなるからです。
自分のパソコンを毎日自宅に持ち帰っています。EyeMoTがアップデートされるとすぐにインストールして試せます。
「データを取ると良い。」と言われています。私はやっていません。
特に研究論文を書かないし、あくまでも授業の手段に過ぎません。
教員としては、授業の目標を達成することが優先です。
訪問教育は、出張報告の形で毎回の授業を簡単な文章や写真で記録はしています。
そんな感じで十分です。
「やろうとしてること」や「やってみたこと」をちょっと周りの同僚に言ってみたりします。何かコメントをくれたりすることが、ヒントになったりブレーキになったり、奮起させられたりします。
一人で進めていると独善的になってしまいがちです。客観的な視点も必要です。
基本おしゃべりなため黙っていられず、周りの同僚にしゃべってみます。そうすると、けっこう頭の中が整理されたりもします。
また閉ざされたところで、知り合いの教員に発信してみたりします。
訪問教育で家族のいるところで毎回の授業をしていますから、様子はわかってもらっています。本人が気が進まなければできませんし。
出張報告書には、やっていることは書くようにしています。
上司に知っておいてもらっていることは大切です。
自分で視線入力機器を使った授業はできます。
しかし、他の教員に視線入力を使った授業をしてもらうのは難しいです。
たとえやってくれたとしても、一発やって終わりになってしまいます。
よくあることです。
ひとそれぞれ自分のやりたいことの優先順位があります。
特別支援教育は個別指導が最優先ですから、
私は視線入力を毎回授業でできます。
周りの同僚は、個別の学習で何をさせているか。
無理にペグさし、スイッチを押す、難しいことをさせています。
目でできるのですから・・・、なぜ手を供応させることにこだわるかな・・・。
サポートで入れれば、まだいいのです。
しかしサポートに入ってしまうと、
今度は頼られてしまい、なかなか教員に視線入力機器の操作を身につけてもらうのは難しいです。
たまにはいいこともあります。
教員仲間が学校の視線入力機器の貸し出し表に名前を書いて、
借りていってくれたり、
「PowerPointでこんな教材作っているんですけど・・・。」と質問に来てくれたり・・・、
少しずつやってくれていることがあると、
うれしいです。
あまり多くのことを期待しないのが精神的には良いです。
ちょっとでも、周りに良い方向に変化が起これば、良しとしましょう。
まずは、自分の授業を充実させましょう。
同僚に視線入力に関心を持ってもらったり、使ってもらったりしてもらえるように、環境を整えることが大切です。
◎みんなが自由に使える視線入力機器をそろえる。
まずは、パソッテルセット1つ学校にあると良いです。
EyeMoTは、アップデート情報に気をつけて、最新のものを入れておきましょう。
風船割りの風船、射的の的や、スクラッチの背景に教員やキャラクターの写真を入れて、生徒が楽しく取り組む工夫も必要です。
◎マニュアルをつくる
使い方を詳しい教員に聞いたりするのって、遠慮があったり、時間が合わなかったり、肝心の生徒が欠席してしまったりで、絶好のタイミングを逃している場合も多いです。
使いたいときに、自分のペースでマニュアルを見ながらできるようにしておくことが効果があります。
普及させようと、ゴリ押ししていっても、なかなかうまくいかないです。
「視線入力やる時は、呼んで。」言っておいても、その日はなかなか来ないことが多いです。
セッティングが複雑だと、なかなか使ってくれません。なるべくシンプルがいいです。
また、手続きが面倒だったり、やったことを書かせたり、管理したりすることも、敬遠されます。
逆に、視線入力について、何もしないでほうっておくと、下手すると廃れていきます。
1年に1回くらいは研修会をおこなって、
何かのときは、聞いてもらえる雰囲気を作っておくと良いです。
あとは、できるだけ、「担任が自分でやる気になり、習慣化できるように見守る。」ことです。
教員に対して、大学には、厳しい見方をする人たちもいます。
・特別支援教育なんていらない。
・一度、生徒の家に泊まって、母親の苦労や、生徒の様子を見たらいい。
・教員だってネットワークの知識くらい必要。
・・・・
でも、はっきり言って教員にそれを期待するのは無理があります。
ボランティアではなく、授業をやっているのです。
教員の仕事のメインは、児童生徒に学ばせることです。
視線入力は単なる手段の中の一つです。
ネットワークのことだって工学部を出ている訳ではないため分かりません。
教員の能力、仕事の範疇を超えて、できることではないことを分かっていながら、
発言しているのです。
教員だって「働き方改革」と言われるほど、多忙です。
無理なことはしないで、やれる範囲でやっていけばよいのです。
パソコンやネットワークのことは、すでに業者が管理しています。教員はエンジニアではありません。その仕事も今後はだんだん少なくなって、授業に集中できるようになります。
訪問教育で、週3回2時間の授業を3年間×2(=6年間)、
計4人の生徒を見ました。
意見をする人たちより、実際に家庭に入り込み、じっくり授業に取り組んでいます。
その時間は、保護者には別の部屋で好きなことをしてもらっていました。
例えば、大学の研究として、障害を持った方の家庭に泊まり込んで、
夜中もずっと観察したとしても、他人が入り込むのですから、
本当の姿って見ることはできません。
それほど言うのであれば、実際に大学の教授がやってみて、
様子を全国の教員に伝えてもらいたいです。
あるいは自分で動いて、制度を変えてみてはどうでしょうか。
特別支援教育の教員が時間外に授業ができるように。